北海道自治体学会ジェンダー研究会は、「森喜朗・公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会 組織委員会会⻑の不適切発言を受けての声明」を発表いたしましたので、ご報告します。
森喜朗・公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会 組織委員会会⻑の「不適切」発言を受けての声明
2021 年 2 月8日
北海道自治体学会ジェンダー研究会
森喜朗氏は 2 月 4 日に記者会見を行い、前日開かれた JOC 臨時評議員会での自らの発言について 「オリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切な表現であった」と認識し撤回する、と表明しました。
報道によれば、その発言とは、「女性が多い会議は時間がかかる」「(女性は)競争意識が強い」、さらに 「女性の数を増やすなら、発言時間をある程度、規制をしないとなかなか終わらないので困る」という意見 を肯定的に披露し、「自分たち組織委員会の女性はみんな『わきまえて』いて、的を射た発言で役立ってい る」という内容だったとのこと。差別的に「女性」という属性を使う発言であり、オリンピック憲章にある「いか なる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない」というオリンピズムの根本原則や、 「男女平等の原則を実践するため、あらゆるレベルと組織において、スポーツにおける女性の地位向上を促 進し支援する」という IOC の使命と役割などに反していることは明らかです。「ジェンダー平等を実現しよう」 という国連の持続可能な開発目標(SDGs)を軽視した、侮辱的な発言でもあります。
それにしても「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長」という、国際的な日本の顔の 一人である立場の人がどうしてそんな発言を?この疑問は、森氏の過去の発言の数々を思い出すと氷解し ます。記者会見の質疑を見ても、自分の発言がなぜ不適切なのか、そのことを本当に認識しているとは思え ませんでした。多様性の尊重やジェンダー平等に無関心であるだけでなく、無自覚の差別意識をお持ちな のではないでしょうか。
さらに深刻なのは、森氏の発言時に笑い声をあげた人たち、余人に代えがたいとか組織を混乱させない ためなどを口実に、結果的に不問に付そうとする人たちの存在です。スポーツ界ならず日本のあちこちに、 性差別が構造的に残っていることの表れだと思います。国際的な非難が起こっていることも、まったく当然の ことだと言わざるを得ません。
私たちは、性差別のない社会の実現を目指して、学び行動している北海道の小さな団体ですが、沈黙の 共犯者にはなりたくないと、強い憤りをもって声をあげました。
関係の皆さまには、森会長の退任とオリンピック精神を理解し体現できる後任者の選定、そして性差別的 意識や組織構造を改善していくための方針と具体案の策定に取り組んでくださることを求めます。
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